パンに含まれる残留農薬について

残留農薬が含まれる食材を摂取すると、ガンなどの重大な病気になったり、アレルギーを誘発するなど様々な弊害が生じると言われています。野菜だけでなく、穀類も残留農薬の含有率が低くありません。特にパンの原料となる輸入小麦に含まれる残留農薬が問題視されています。

ここでは、パンに含まれる残留農薬について解説していきます。

残留農薬の問題とメロンを安全に食べる工夫

多くの市販のパンには残留農薬が混入している

パン類に限らず、ハンバーガーやケーキといった輸入小麦を用いた多くの製品からクロルピリホスメチル・フェニトロチオン・マラチオンといった有機リン系農薬が検出されています。こうした残留農薬は中枢神経系に害を及ぼす有害物質で、食品衛生法上は問題ないとされているものの、人体へ大量に取り込むことは好ましくないでしょう。

特にマラチオンは、極微量でも人体に悪影響を及ぼす環境ホルモンの疑いがあります。輸入小麦にこのような残留農薬が含有されるのは、日本では禁止されているポストハーベストが行われているからです。ポストハーベストとは、輸送中にカビを発生したり、腐敗しないように殺菌剤や防かび剤を収穫後の農産物に撒布することです。

こうした農薬のほか、除草剤が混入している点が問題になっています。

パンの原料になる強力粉の特徴

食パンの主原料は強力粉です。強力粉はグルテンが少ない国産小麦ではなく、カナダやアメリカから輸入される硬質小麦が向いています。硬質小麦の栽培には、毒性が問題視されている除草剤が使われています。除草剤を使用すると小麦が枯れて乾燥することから、早く収穫できるというメリットがあります。

この除草剤は、遺伝子組み換え作物の栽培に使用されていることで有名です。その主成分は脂肪肝疾患の原因となるグリホサートで、ヨーロッパではグリホサートを有害物質として排除する動きが活発になりました。フランスでは健康を害するリスクについて検討されていない危険物質として、グリホサートの使用が禁止されています。

アメリカでは、母乳や子どもの尿からグリホサートが検出されたという報告例もありました。日本では、輸入小麦のほぼ全部からグリホサートが検出されています。実は日本は2017年にグリホサートの残留基準値を大幅に緩和しました。

残留農薬が確認された輸入小麦は基準値以下であれば製粉業者へ卸される

アメリカとカナダから輸入される小麦ほどではないにせよ、オーストラリアからの輸入小麦からもグリホサートが検出されています。オーストラリア産の小麦には、アメリカ産の8分の1、カナダ産の5分の1ほどのグリホサートが含まれています。

オーストラリアからの輸入小麦は、主にパンではなく麺類に利用されています。そして、パンに使用されている小麦のほとんどは、残留農薬の含有率が高いアメリカやカナダ産の小麦です。

小麦は洗って使用できないため、残留農薬を除去できません。

また、加熱してもグリホサートは分解されないことがわかっています。なお、輸入小麦については強力粉のほか、健康に良いとされる全粒粉からも強力粉より多い残留農薬が検出されました。全粒粉は皮付きですから、強力粉より農薬が残留しやすいためです。

特に全粒粉100パーセントの場合は、他の製品に比べ高濃度のグリホサートが含まれています。

残留農薬が含まれるパンを食べても大丈夫か?

アメリカで母乳や子どもの尿からグリホサートが検出された以上、日本でも同様の検査を行えば似たような結果が出る可能性はあります。しかし、輸入小麦は逐一検査されており、国が定めた基準値以内に収まっている限り、健康問題は生じないとされています。

グリホサートの内閣府食品安全委員会が定めたADIと呼ばれる1日摂取許容量(一生の間人が毎日摂り続けても健康被害が生じないと推定される1日当たりの摂取量)は、体重1キロにつき1ミリグラムとされています。例えば、体重60キロの人が毎日60ミリグラムのグリホサートを死ぬまで摂り続けても、健康に有害な影響がないということです。

つまり、最大量のグリホサートが検出された輸入小麦を原料とするパンを毎日300キロ近く食べても健康被害はないということになります。毎日のパンの摂取量はせいぜい数十グラムであり、輸入小麦に含まれるグリホサートに対する懸念は杞憂だという意見も強いです。

もっとも、アレルギー体質の人は注意が必要かもしれません。実はグリホサートと小麦アレルギーのセリアック病の関係性が指摘されています。グリホサートの使用量が増えると、グルテンアレルギーのセリアック病も増加傾向が見られます。

また、現時点でパンに含まれるグリホサートの危険性がないとされていても、ネオニコチノイド系の農薬のように後になって実は微量でも胎児への悪影響があると判明した事例もありますので、妊婦はできるだけ摂取を避けた方が良いでしょう。

健康問題の意識が高いフランスに加え、アメリカでも「小麦の残留農薬は生分解性のため、土壌に蓄積されない安全な物質で人体や環境へ悪影響を与えない」という小麦の安全性をアピールする広告が虚偽かつ誤解を招くとして禁止される判決が出されました。

パンの残留農薬問題はどのように解決したら良い?

パンに含まれるグリホサートの毒性については各国間で意見が対立しており、この問題にどう対処したら良いのかわからず困っている人も多いでしょう。輸入小麦に残留農薬が含まれることは確実とはいえ、パンによって含有量が著しく異なります。

国の安全基準に合格していても、その含有値を知りたいと思うのは消費者として当然です。しかし、パンの袋の成分表示にはグリホサートなどの残留農薬の含有量までは記載されていません。気になるようならメーカーに問い合わせてみましょう。

丁寧に説明してくれるメーカーもあれば、安全基準を満たしている以上具体的な数値を公開する必要はないと言うメーカーもあるでしょう。その場合、不親切な対応をするメーカーの製品は購入を控えれば良いだけです。メーカーの言い分を信用できないという人は、食品分析を行う検査機関に残留農薬の検査を依頼することも可能です。

パンに含まれる残留農薬について知識を持ちましょう

パンには人体に有害な残留農薬が含まれていますが、その量は微量で直ちに健康被害をもたらすものではありません。しかし、国が定める安全基準は緩和されることもあり、どの程度摂取すると健康問題が生じるかについては明確にわからないのが現実です。

長期間にわたり毎日摂取すると、未解明の健康被害を被るおそれがあると警告する専門家もいます。常に最新の情報を入手し、パンの残留農薬に関する安全性をチェックしましょう。

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